黄緑こうりょく)” の例文
しかも明るくひろくうち開けた上流の空の、連峰と翠巒すいらん濛々もうもうたる田園の黄緑こうりょく、人家、煙。霧、霧、霧。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
田圃側の草の上には、土だらけの足を投出して、あおのけさまに寝ている働きつかれたらしい男があった。青麦の穂は黄緑こうりょくに熟しかけていて、大根の花の白く咲き乱れたのも見える。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その一角と一角とが、いまや入り乱れて、み合っていた。折々、喊声かんせいは天をふるわし、鎗刀の光は日にかがやいて白い。どよめく度に、白紅はっこうの旗や黄緑こうりょくはいは嵐のように揺れに揺れている。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)