鰻谷うなぎだに)” の例文
大阪おおさか俳優中村福円なかむらふくえん以前もと住居すまいは、鰻谷うなぎだにひがしちょうであったが、弟子の琴之助ことのすけが肺病にかかり余程の重態なれど、頼母たのもしい親族も無く難義なんぎすると聞き自宅へ引取ひきとりやりしが
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
使いに行けば油を売る。鰻谷うなぎだにの汁屋の表に自転車を置いて汁を飲んで帰る。出入でいり橋の金つばの立食いをする。かね又という牛めし屋へ「芋ぬき」というシュチューを食べに行く。
アド・バルーン (新字新仮名) / 織田作之助(著)
何でも二十日はつか頃だよ。細君が御歳暮の代りに摂津大掾せっつだいじょうを聞かしてくれろと云うから、連れて行ってやらん事もないが今日の語り物は何だと聞いたら、細君が新聞を参考して鰻谷うなぎだにだと云うのさ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)