魂祭たままつり)” の例文
それが皆わざおぎの所作ではなくて、神の実在を信じたあるじりであったことは、ちょうど我々の盆の魂祭たままつりの後先ともよく似ている。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
大牢の城門外にある獄神びょうと地蔵寺では、例年盂蘭盆会うらぼんえの当夜、さかんなる燈籠流しの魂祭たままつりがおこなわれる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
七月の十五日は殊に魂祭たままつりの当日なれば、夕涼ゆうすずみより家を出でて独り彼処かしこに赴きけり。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それで身が冷えているだろうといういたわりから、コスガナシだけには麦藁むぎわら門火かどびに焚いてお迎えをし、新らしい方の魂祭たままつりには火を焚かないということである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一般に七月ぼん魂祭たままつりの風習を採用させたが、是には一種政治上の動機、すなわち今まであまりにも強烈であった島民の信仰を、やや牽制けんせいしようという意図もあって
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
魂祭たままつりの季節は南方の諸島において、以前は一般に旧暦の八月であったらしい。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
日本の東半分では、今でも盆の魂祭たままつりに対して、暮にもう一度ミタマ祭というのがあり、この方は全く仏教との交渉がなく、清らかな米の飯を調じて、祖霊に供しまた自分たちもこれに参与する。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
我々の祭の日の中で、一ばん全国的なものは盆の魂祭たままつりであろう。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)