骨董的こっとうてき)” の例文
形勢は一変してこれらの「骨董的こっとうてき」な諸現象が新生命を吹き込まれて学界の中心問題として檜舞台ひのきぶたいに押し出されないとも限らない。
自然界の縞模様 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「これほどの由緒ある建築にあまり手をつける事は賛成出来ない。骨董的こっとうてき価格を減損するというものだ。自然保険料を値上げしなければならない」
バットクラス (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
慌てて日記帳と矢立やたて(私はこういう場合に備えてすずりを用いず、矢立を用いている。それは父の遺品で、唐木とうぼくで作った、中国製のものらしい骨董的こっとうてき価値のある矢立である)
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
二人の言う処はいずれにしても江戸の声曲を骨董的こっとうてき愛玩あいがんするという事に帰着するのである。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その骨董的こっとうてき風致に加うるに、若い娘にふさわしい快活優美な小さな道具をもってした、すなわち、戸棚とだな、本箱と金縁の書物、文具箱、吸い取り紙、真珠貝をちりばめた仕事机、銀めっきの化粧箱
骨董的こっとうてき名品めいひんとして知られているが、容易に手に入る品ではない。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
これも従来はほとんど骨董的こっとうてき題目だいもくとして閑却され、たまたまこれを研究する好事家こうずかは多くの学者の嘲笑ちょうしょうを買ったくらいである。
備忘録 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)