駒寄こまよ)” の例文
けれども彼女が青山の実姉の家にはいったという事が知れた。その家では、まるで交通遮断しゃだんとでもいうように表門には駒寄こまよせまでつくって堅く閉じ、通用門をさえ締切ってしまった。
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
土蔵の裾を囲む駒寄こまよせの中に、柳の大木が生えている。枝に葉のある季節には、青いすだれのようにその枝が、土蔵の前を覆うていた。町内のどの家と交際しているということもなかった。
蝙蝠 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
正面はたかき石段にて、上には左右に石の駒寄こまよせ、石灯籠などあり。桜の立木の奥に社殿遠くみゆ。石段の下には桜の大樹、これに沿うて上のかたに葭簀張よしずばりの茶店あり。店さきに床几しやうぎ二脚をおく。
番町皿屋敷 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
家貞はすぐ、駒寄こまよせに、立ちあらわれ——。
土蔵のすそを囲む駒寄こまよせの中に、柳の大木が生えてゐる。枝に葉のある季節には、青いすだれのやうにその枝が、土蔵の前を覆うてゐた。町内のどの家と交際してゐるといふこともなかつた。
蝙蝠 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)