首根くびね)” の例文
「身分! 身分!——あなたの身分は私の胸の中に、そして今も、この後も、あなたを侮辱する奴等の首根くびねつこにあるのですよ。——行つてらつしやい。」
と、おどろく蛾次郎の首根くびねッこにかじりついて、人まえもなく、ワッと声をあげてうれしきに泣きたおれた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
周三は、畫室を出ると、また父に取捕まつて、首根くびねつこを押へ付けて置いてめ付けられるのがこはいのだ。で、しん氣臭いのをおつこちへて、穴籠と定めて了ふ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
鎧通よろいどおしをひきぬき、逆手さかてにもって、グイと民部の首根くびねにせまった。民部は、そうはさせまいと、下から短剣たんけんをぬき、足をもがき、ここ一ぱつのあらそいとなって、たがいに必死。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)