饅頭屋まんじゅうや)” の例文
小説家後藤宙外ちゅうがい氏が鎌倉に住んでいたころのことであると云うから、明治三十年前後のことであろう、その時鎌倉の雪の下、つまり八幡宮はちまんぐうの前に饅頭屋まんじゅうやがあって
二通の書翰 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その中に京都の饅頭屋まんじゅうや塩瀬三左衛門と云うものも伺候したが、光秀が献上のちまきを、笹をとらずに食ったのでびっくりし、これでは、戦争は敗だと思ったと云う。
山崎合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
中村の家にいる姉のおつみの青い痩せた顔を思い泛べると、饅頭屋まんじゅうや蒸籠せいろうから立つ湯気を見ても
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやどうも、このごろは悪い奴が近辺へ入り込むので。なに、わずか三十文のところを手厳てきびしく言うでもないが、いくら饅頭屋まんじゅうやだからというて、甘くばかり見せておられぬわい」
馭者は宿場しゅくばの横の饅頭屋まんじゅうや店頭みせさきで、将棋しょうぎを三番さして負け通した。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
鎌倉の八幡宮の前にあったあの雪の下の饅頭屋まんじゅうやへ、某日あるひ二通の書翰しょかんが届いた。一通は横浜のの女の家から来た書翰で、一通は佐倉に居る××君の書翰であった。
二通の書翰 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
庁舎を出て、用もないまま町の公園をぶらついたすえ、子供らの騒いでいる鞦韆ぶらんこのある遊び場までくると、そこの一隅に荷を下ろしていた、うすぎたない饅頭屋まんじゅうやの小男が
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)