養母おふくろ)” の例文
「ば、ばかっ。……おまえの養母おふくろに聞け、おまえの体には、おれの手から身代金ほどの金が、お甲へやってあるのだ」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし一方に養母おふくろが、芝居と、信心と、寝酒の道楽を初めて、死んだ金兵衛の伝でグングン臍繰へそくりをカスリ取る上に、良い縁談をみんな断ってしまうので
近眼芸妓と迷宮事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「いいえ、全盛それどころではござんせん。姉が達者でいてくれますと、養母おふくろも力になるんですけど、私がこんなですからね。——何ですよ、いつも身体が弱くって困りますの。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いや/\養母おふくろやおえいの事を迂濶に御両親のお耳に入れたなら、おかめはお母様かゝさまには実のいもと、又女房おえいは実のめい、此の母子おやこの悪事を聞かれたら物堅いお父様とっさまやおっかさまがさぞお驚き遊ばし
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
養母おふくろ尖唇つのくちうらめしげに一瞥いちべつしつ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「きょうは誰もいないらしい。おまえの養母おふくろも、粋をきかして先へ京都へ帰ったし……」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それ、あの、忠兵衛の養母おふくろといった隠居さんが、紙袋かんぶくろを提げているから、」
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
耳の遠い養母おふくろと一緒に小さな煙草屋を遣っている。
近眼芸妓と迷宮事件 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
養母おふくろですか。息災ですよ。でも、めっきり弱りました。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そう棘々とげとげしくいうな。もうおまえと馴染なじんでから小一年、おれの気持もわかったはず、お甲はとうに承知なのだ。おまえがおれに従わないのは、おれに腕がないからだとあの養母おふくろはいっている。……だから今日は」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
養母おふくろへ義理たった一つばかりなのよ!……
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)