飼糧かいば)” の例文
飼糧かいば、手入れの注意など与え、やがて奥の——いまは喧嘩けんかを売ってくる妻もないひとり居のの下へ——幼い子らをよび寄せて、戯れていた。
覗けば、馬方の三次、飼糧かいば切りの中に首を突っ込んだまま、あけに染んで死んでいたのです。
「城太、城太。この辺で腹をこしらえて行こうではないか。馬にも飼糧かいばをくれねばならぬし、わしも、一ぷく煙草がつけたい」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それは多分、かなりの金を貰って、その晩のうちに遠方へ逃げてしまったろう。三次は江戸の酒と女とさいころに引かされて踏み止まったばかりに飼糧かいば切りの中へ首を突っ込まれた」
にく黄匪こうひめを討つんだ、槍の持ち方が分らないうちは、馬の飼糧かいばを刈ってもいくさの手伝いになる。おれは行く」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊那丸方いなまるがた面々めんめんは、馬には飼糧かいば、身には腹巻をひきしめて、あまたけの陣々に鳴りをしずめた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お、忘れていた。外に繋いでおいたのは、踢雪烏騅てきせつうすいと申す名馬。あれへもあとで飼糧かいばをやっておいてくれんか。そして、どこか人目につかん所へ繋いで今夜は大事に守っていてくれよ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「馬は、そのままにしておかっしゃれ。おらが、飼糧かいばをやっておくから」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬に飼糧かいばをやっていた男が、武蔵の影を振向いて訊ねた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ええ、飼糧かいばをやりました」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)