“飯焚(めした)” の例文
他人の争いの仲裁者となったり、病める青年を慰めたり、新聞売りの老婆や、飯焚(めした)きの小娘や、犬やをも労(いた)わり愛した。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
それを日ざしを見ていて午飯の刻限近しと見るや、飛んで帰ってきて飯焚(めした)きの支度をしたのは主婦である。ケシネビツすなわち糧米櫃(ろうまいびつ)の中に桝(ます)が入っている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
飯焚(めした)く時間を惜んで餅を食ひ、茶もおち/\は飲むで居られぬ程、自然は休戦の息つく間も与えて呉れぬ。
草とり (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
飯焚(めした)く時間を惜んで餅(もち)を食い、茶もおち/\は飲んで居られぬ程、自然は休戦の息つく間も与えて呉れぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
それで私は、私の留守中ナオミを監視するためにも、小間使いを一人と飯焚(めした)きを一人置くことにする。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
飯焚(めした)きにでも、乳母にでも、お妾(めかけ)にでも、おつかい途(みち)のある旦那がたは、どうか安心して——
野槌の百 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奉公女とくると下働きの飯焚(めした)きから日傭(ひやと)い女にいたるまでかつて手をつけなかったためしはなく、それも大してあくどいというやり方ではないが、親切ごかしに貧乏な水呑百姓に金を貸してやっては
本所松坂町 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
「玄卿の秘密を発(あば)くため、飯焚(めした)きとなって住み込んだのでござる」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
小間使いには大へん都合のいいのがある、内で使っていた仙太郎の娘がお花と云って、今年十五になっているから、あれならお前も気心が分って安心して置けるだろう。飯焚(めした)きの方も心あたりを
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)