頭蓋ずがい)” の例文
身長六尺、大理石のような胸郭、青銅のような腕、洞穴どうけつから出るような呼吸、巨人のような胴体、小鳥のような頭蓋ずがい
頭蓋ずがいのあらわな不恰好さ、躯を動かすたびに揺れる重たげな乳房、厚く肉付いて、圧倒するような量感のある広い腰、そうして畸型きけいかと思われる曲った短い足。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
又彼女は幼児の時切石で頭蓋ずがいにひどい怪我をした事があるという事であるがこれも其の後何の故障もなく平癒してしまって後年の病気に関係があるとも思えない。
智恵子の半生 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
骨相術は頭蓋ずがい頂骨の形状を見て、その人の性質を判断する術にして、もっぱら西洋に行われておる。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
彼は男性人造人間の頭蓋ずがいをひらいて、その中につめてあった人造脳髄を切開せっかいして取りだした。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いかにも噛む力の強そうな小さなあごがまッ赤な下唇をかすかに見せている。函のようなそのものの頭蓋ずがいのなかにはどんな智慧ちえがはいっているのか、考えてみることも出来ない。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
部分的に面影を残している四肢ししの肉づきや肌の色合で分ったが、長い髪の毛は皮膚ぐるみかつらのように頭蓋ずがいから脱落し、顔は押しつぶされたとも膨れ上ったとも見える一塊の肉のかたまりになり
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
先生の頭蓋ずがいの形の特異さが殊に彫刻的に面白かった。所謂いわゆる法然ほうねんあたまである。この頃から私もだんだん彫刻性についての自分自身の会得に或る信念を持つようになった。
自作肖像漫談 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
女のほうはその感じが特にひどい。頭蓋ずがいのあらわな不恰好ぶかっこうさ、躯を動かすたびに揺れる重たげな乳房、厚く肉付いて、圧倒するような量感のある広い腰、そうして畸型きけいかと思われる曲った短い足。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「なにしろ頭蓋ずがい骨折で、手足にも骨折があるでしょうね、心臓も肥大しているな、酒の飲みすぎだと思うが、ここへ担ぎ込まれたときにはもう意識不明でした、ああ、本人は苦痛も感じていなかったと思う、頭蓋骨折だからね」
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)