頭脳づのう)” の例文
旧字:頭腦
彼の頭脳づのうのへんに冴えてゐるには一驚を喫する。その立体的で簡勁な筆致は言はずもがな。彼の犯罪的の作品は以上のものにとどまらない。
探偵小説小論 (新字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
世間せけんからては、病的びやうてき頭脳づのう狂人きちがひじみた気質きしつひともないことはなかつた。竹村自身たけむらじしんにしたところで、このてんでは、あま自信じしんのもてるはうではなかつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
代助はむかしひとが、頭脳づのうの不明瞭な所から、実は利己本位の立場に居りながら、みづからはかたひとためと信じて、いたり、感じたり、激したり、して、其結果遂に相手を
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三千代みちよを平岡に周旋したものは元来が自分であつた。それを当時にくゆる様な薄弱な頭脳づのうではなかつた。今日こんにちに至つて振り返つて見ても、自分の所作しよさは、過去をらすあざやかな名誉であつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)