頬桁ほゝげた)” の例文
どうでもお胸が晴れぬとあれば、殿さまの御名代ごみやうだいにこの奴が、女の頬桁ほゝげたふたつ三つ殴倒はりたふして、それで御仕置はお止めになされ。
番町皿屋敷 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「あの頬桁ほゝげたを張り飛ばすのは、やさしいが、喧嘩になつた揚句、親分が、あの離屋から脱け出す工夫がつかなかつたら、飛んだ恥を掻くでせう」
「それは屹度、うまやのかへりに馬を撫でたその掌面てのひらで、夫人おくさん頬桁ほゝげたを思ひきりどやしつける癖なんだらう。」
半日玉ちやんの死骸をいぢくり廻して、まだわからないんだから、呆れて物が言へない——んですつて、あの阿魔あまに飛付いて頬桁ほゝげたを、叩き曲げようかと思つたが
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「挨拶も拔きに、人の家へ笑ひ込むやつもねえものだ。少しは頬桁ほゝげたの紐を引締めろよ、馬鹿々々しい」
落つき拂つた圓三郎の頬桁ほゝげたを、白磨きの十手で毆つてやりたいほど、日頃の平次にも似ぬ興奮です。
越後屋の番頭の五郎次は、したゝか淺吉に頬桁ほゝげたを毆られて、キヨトンとして兩掌を擧げました。
馬吉は治郎兵衞を突き飛ばして、その頬桁ほゝげたを二つ三つ續け樣に高鳴らせました。
八五郎はペロリと舌を出して、自分の頬桁ほゝげたを一つ、威勢よく叩くのです。
振り返つた鐵のこぶしが、思ひ切りガラツ八の頬桁ほゝげたに鳴ります。
八五郎はその生つちろ頬桁ほゝげたを一つくらはせました。