音頭取おんどとり)” の例文
「ああいう時の調子では音頭取おんどとりも致しますけれど、改まってどうしてお聞かせ申すことができますものか」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
木やり音頭取おんどとり五七人花やかなる色木綿いろもめん衣類いるゐ彩帋いろがみざいとりて材木の上にありて木やりをうたふ。
鹿兒島育ちの彼は、クラスの野次の音頭取おんどとりで、田舍丸出しの率直さがみんなに愛されてゐた。
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
腹が空くと、電信の針がねに一座ずらりと出て、ぽちぽちぽちと中空なかぞら高く順に並ぶ。中でも音頭取おんどとりが、電柱の頂辺てっぺんに一羽とまって、チイと鳴く。これを合図に、一斉いっときにチイと鳴出す。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やや太く低いけれども極めて力のある音頭取おんどとりの声と、それにつづいて大勢の中にもとりわけ一人二人思うさま甲高かんだかな若い美しい声の打交うちまじった木遣のうたは、折からのおだやかな秋の日に対して
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
左の座にはその音頭取おんどとりがあるようにも見えた。大抵の読者はそのいずれかに属しながら押黙っていたのである。鴎外はむしろそれを好いことにして、いよいよ韜晦とうかいの術をめぐらすのである。
木やり音頭取おんどとり五七人花やかなる色木綿いろもめん衣類いるゐ彩帋いろがみざいとりて材木の上にありて木やりをうたふ。