革提かばん)” の例文
眺めしがやがて道人の前へ一揖いついふして失禮ながら其の革提かばんは東京で何程ぐらゐ致しますと問かけしが其の樣子アヽ欲しやこれを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
やがてささやかなる革提かばん携へ来りしを、奥様は力なき手にそれを開き、中より幾片かの紙幣さつとり出でて老女に渡したまひしかば、老女は万事その意を得て、これを子供の肌へ
磯馴松 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
げなば定めて村人の驚き羨まんにと思ふ氣色けしきなりまたやがて我に近づき先ほど見上げましたが珍しい蝙蝠傘かうもりがさはぢきがなしでよく左樣に開閉ひろげすぼめが出來ますさぞ高い品でござりませうと是も亦片手に握りて見たき顏の色に我はヱヘンとして斯樣かやうな物は東京に住む者が流行はやりに逐はれて馬鹿の看板に致すなり地方の人は鰐皮の革提かばんの代りに布袋を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)