面紗ヴエール)” の例文
アルバノ、フラスカアチの少女の群は、髮を編みて、しろがねにて留め、薄き面紗ヴエールの端を、やさしくもとゞりの上にて結びたり。
顔は奈何どうでも構はぬが、十八歳で姿の好い女、曙色あけぼのいろか浅緑の簡単な洋服を着て、面紗ヴエールをかけて、音のしない様に綿を厚く入れた足袋を穿いて、始終無言でなければならぬ。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その後の状態を観察しようとして面紗ヴエールや皮手袋を用意して、酒倉の脇を抜けようすると、馬に荷を積んでゐたひとりの若者が、これから山向うの竜巻村まで赴くのであるが
彼女の紫色の乘馬服は殆んど地にすれ/\に引き、面紗ヴエールは微風の中に長々となびいてゐた。そのき通つたひだに混じり、それを透して房々とした漆黒の捲毛まきげがきら/\輝いてゐた。