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青砥
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あをと
勤め美名を後世に
傳へし
青砥左衞門尉
藤綱は
公事訴訟等を聞るゝときは必ず眼を
閉塞て調べられしとこそ聞えたれ
抑々越前守殿此長庵を
それからおまへの使ひなれた
青砥のうへにきずのつかないやうにおいてくれ。
眠りて居られたりと昔し足利家の
御世名奉行と世に
稱へたる
青砥左衞門尉藤綱も
訴訟を
聽時は必らず目を
往昔の
青砥左衞門にも
優れる御奉行也との評判なれば
屹度御吟味も下さらんと家主長助
諸ともお光は南の役所へ
駈込訴に及びしかば越前守殿
落手致され一通り
糺問の上追て沙汰に及ぶ
旨申わたされ其日は一同
下りけり