露見ばれ)” の例文
女房はばかばかしいと思ったが、へんなことで露見ばれてもならんと思って、云うなりに裏の畑から一束の韮を刈って来てそれを洗って枕頭へ持って往った。
雀の宮物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
何しろダイヤモンドを持ち出したことが露見ばれると、たちまち王様がおくらになるという際どい仕事なんだから、その旨も充分言いふくめて、加納商会と石田と柘植に集って貰い
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
となると後できっとかたきを打つだろう。無責任が露見ばれるのは痛快だが——自分はけっして寛大の念に制せられたなんて耶蘇教流ヤソきょうりゅううそはつかない。——そこまでは痛快だが、敵打かたきうちおおいに迷惑する。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「毒じゃ直ぐ露見ばれるから、針を呑まして腸を毀しっちまやいいじゃないか」
雀の宮物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
お前のようなはなッたらしが、あたしと遊ぼうなんてそもそもふざけたはなし。……これは今までの玉代ぎょくだいにとっておく。……一昨日おとといおいでと蹴り出され、あげくのはて、五十両の件が露見ばれて家は勘当。
顎十郎捕物帳:06 三人目 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)