霰小紋あられこもん)” の例文
福は内の晩に——年越しの豆撒まめまきの夜——火鉢の炭火のカッカッとおこっているのにあたっている時、あたしは祖父さんの遺品かたみの、霰小紋あられこもん
棺の中の主人は霰小紋あられこもんかみしもの胸から下が見えて、水晶の念珠が壇のあかりにキラキラと光ります。その時でした。
鉄無地の道行みちゆき半合羽はんがっぱ青羅紗あおらしゃ柄袋つかぶくろ浅黄あさぎ甲斐絹かいき手甲脚半てっこうきゃはん霰小紋あられこもん初袷はつあわせを裾短かに着て、袴は穿かず、鉄扇を手に持つばかり。斯うすると竜次郎の男振りは、一入ひとしお目立って光るのであった。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
それは障子の外に、物のくまのようにうずくまった総髪の中老人、霰小紋あられこもんかみしもを着て、折目正しく両手をついておりますが、前夜怪奇な行法をした、この薬園の預り主、峠宗寿軒に違いありません。
それは障子の外に、物のくまのやうに踞まつた總髮の中老人、霰小紋あられこもんかみしもを着て、折目正しく兩手をついて居りますが、前夜怪奇な行法をした、この藥園の預主、峠宗壽軒たうげそうじゆけんに違ひありません。