雨乞あまご)” の例文
春の頃からひどく旱魃かんばつの打ちつづいた承安四年の事、清涼殿で雨乞あまごいが執行とりおこなわれたが、誰が祈祷きとうにあたっても、一滴の雨も降らなかった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで、方々の村では、鎮守ちんじゅやしろに集まって雨乞あまごいをしました。御幣ごへいをたくさん立て、いろんなものをそなえて、雨が降るようにと鎮守の神に祈りました。
ひでり狐 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そういう場合にはオトヂキョもののしのろわれたけれども、別に雨乞あまごいのためには祈りタカべられてもいたのである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
六月にはいって見ると、うち続いた快晴で、日に増し照りも強く、村じゅうで雨乞あまごいでも始めなければならないほどの激しい暑気になった。荒町の部落ではすでにそれを始めた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
雨乞あまご
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かねて頼朝にも、弟の内縁の静が、神泉殿の雨乞あまごいの舞楽に、九十九人の舞姫のうちでも優れた白拍子しらびょうしであったということは聞き及んでいるところから
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは夏の初め、農作にもっとも水の必要なころに、雨がちっとも降らぬと百姓がよわってしまって、いろいろ雨乞あまごいの祈祷きとうをする。その最後のものが千駄焚せんだたきだったのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)