雑巾掛ぞうきんがけ)” の例文
旧字:雜巾掛
洗物をさせるにも、雑巾掛ぞうきんがけをさせるにも、湯をかして使わせるのに、梅の手がそろそろ荒れて来る。お玉はそれを気にして、こんな事を言った。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
私の下宿ではいつも朝飯あさめしが済んで下宿人が皆出払った跡で、ゆッくり掃除や雑巾掛ぞうきんがけをする事になっていた。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
今や十二時にも成りなんにと心に懸けながら、その音は聞くに及ばずしてつひねむりを催せり。日高ひだかき朝景色の前に起出づれば、座敷の外を小婢こをんな雑巾掛ぞうきんがけしてゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
座敷のまわりを雑巾掛ぞうきんがけしてそれから庭に広げてあるむしろを倉へ片づけてから野へゆけと言いつけた。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
バケツを提げて、その縁側へお雪が雑巾掛ぞうきんがけに行ってみると、丁度躑躅つつじの花の盛りである。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お糸さんは奉公人でないから雑巾掛ぞうきんがけには関係しなかったが、掃除だけは手伝っていたので、いつも其時分になると、お掃除致しましょうと言っては私の部屋へ来る。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
用をしてから出て来て見ると、手水鉢ちょうずばちに水が無い。小女ちびは居ないかと視廻みまわす向うへお糸さんが、もう雑巾掛ぞうきんがけも済んだのか、バケツを提げてやって来たが、ト見ると、直ぐ気が附いて
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)