隙間風すきまかぜ)” の例文
声はひゅうひゅうと隙間風すきまかぜのようにかすれ、またも無意味に濁ったりした。そういう断続の叫喚をつづけて思いきり悪く自分の身をかばいだした。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
着いた翌日はず階下の部屋の一隅にむしろを敷いて隙間風すきまかぜを防ぎ、その上に携帯用暗幕を張って急造の暗室を作る。
隙間風すきまかぜがきらいで、どこででもさむそうに帽子ぼうしをかぶっていたが、その帽子をぬぐと、円錐形えんすいけいの赤い小さな禿頭はげあたまがあらわれた。クリストフとおとうとたちはそれを面白おもしろがった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
でも屋内はスティームの煖房だんぼうがありますので、快く、暖かであります。独逸の家屋は二重窓になっているので、日本のよりもずっと頑丈がんじょうです。従って隙間風すきまかぜなどは這入って来ません
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「風が消したか? “隙間風すきまかぜ、人を殺す”って北露西亜ロシヤことわざがあるからね」
(新字新仮名) / 楠田匡介(著)
床にさんがあって、脚の安定が危かったが、割れたままのガラス窓から吹きこむ縮みあがるような隙間風すきまかぜもなく、暗くても戸を閉ざしたら人いきれで暖かかったし、座席の設備がないかわりに
煙突 (新字新仮名) / 山川方夫(著)