随喜ずいき)” の例文
旧字:隨喜
何の悔恨の情もなく、ただ喜悦の情のみをもって、自分の犯した罪をいつもの如くさらさらと書くことが出来るではないか、悪魔よ随喜ずいきの涙を垂れてくれ。
鼻に基く殺人 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
偶然だが、玄徳の一文がよくこの奇効を奏したので、城兵の随喜ずいきはいうまでもなく、老太守の陶謙はふたたび
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして交通はそれらのものへの接触を遥かに容易ならしめているからである。そうして未踏の処女地は至る所に在るからである。もし茶祖が今よみがえるなら随喜ずいきの涙を流すであろう。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
語り来りて彼は随喜ずいきなんだむせび、これも俳優となりたるおかげなりと誇り顔なり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
御上おかみの沙汰としなれば、大抵の事は泣きの涙でも黙って通す。然し彼等が斯くするは、必しも御上に随喜ずいきの結果ではない。彼等が政府の命令に従うのは、彼等が強盗に金を出す様なものだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
老僧は、彼の手にふれると、なおさら、随喜ずいきの涙を流さぬばかりふるえて、額に押しいただきながら
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さむらいに取り立ててやるといえば、随喜ずいきして、仰せにしたがうというのが人情であり常識であった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なにしろ准后じゅんごうをはじめ後宮の女人もすべて彼の随喜ずいきの弟子とさえいわれているうえ、内々には政治の面にも、彼のくちばしが入ると信じられていて、ちょうどその威勢は
のどがキュッという。礼讃、嘆声、随喜ずいきのよだれ。まさに亡者もうじゃに囲まれた天泉の図であった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼が随喜ずいきしたものは、彼が産も家系もない庶民の一人だけに、かえって正直に理解される現状の世の中の悪さと、将来に渇望かつぼうされるものにあった。——人よりも、その革新精神の旗じるしにあった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
随喜ずいきして、もう口のうちの念仏に素直な心を示すのだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)