陽射ひざ)” の例文
ゆうべの夢見ゆめみわすれられぬであろう。葉隠はがくれにちょいとのぞいた青蛙あおがえるは、いまにもちかかった三角頭かくとうに、陽射ひざしをまばゆくけていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
追い追いはげしくなる陽射ひざしのしたで、コン吉は、セント・エレーヌに流されたナポレオンの心情もかくやとばかり、悲憤の涙にくれるのであった。
捕物の名人錢形の平次と一時兩國で鳴らした美しいお靜とは、人目と陽射ひざしをけて、街の片蔭へ入りました。
ひかげの風は、外套ぐわいたうを刺すやうに冷めたかつたが、日向へ出ると、陽射ひざしがほかほかと暖かであつた。すぐ眼の上の大きい煙突から、汚れた煙が西へなびいてゐた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
そして、彼は黙りつづけながら陽射ひざしのほうに背を向けて、第三厩舎の中央の柱にかけてある長い綱を、放牧馬捕獲用の長い綱を、自分の身体にぐるぐると巻きつけていた。
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)