閑散かんさん)” の例文
その頃は父も閑散かんさんな身となって佃島つくだじまにすんで土いじりをしていたので、一所に植木いじりはしていたが——たまたまいきな客などが来て
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
きのう今日の二日程を、屋敷に居て案じている内蔵助の命をうけて、様子を見に来た勘定方の岡島八十右衛門は、そこの閑散かんさんぶりを眺めて
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっともホームは至って閑散かんさんで、そんなことには超人的な記憶力をもっている若い男たちが、幸か不幸かその近所に居合わさなかったせいにもよるだろう。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
長男が生れたのは、終戦後、追放をうけて、だしぬけに空虚閑散かんさんな境遇に落ちつき、残る人生について、本気で考えねばならぬような状態じょうたいに立ちいたったときである。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
やがて部員の配置表が出来て、僕は前にも云ったとおり、比較的閑散かんさんな信濃町駅を守ることとなった。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)