長躯ちょうく)” の例文
そうして、彼の長躯ちょうくは、不弥うみを追われて帰ったときの彼のごとく、再び矛木ほこぎのようにだんだんとせていった。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
張松のすがたを見ると、一斉に鼓を打ちかねを鳴らして歓迎したので、張松が、びっくりして立ち止まると、たちまち、長髯ちょうぜん長躯ちょうくの大将が、彼の馬前に来て
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目の廻る程急がしい用意の為めに、昼の間はそれとなく気が散って浮き立つ事もあるが、初夜過ぎに吾が室に帰って、冷たい臥床ふしどの上に六尺一寸の長躯ちょうくを投げる時は考え出す。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
長躯ちょうくの市民兵が侵入してきたのである。あるいは乗り合い馬車をまたぎ越え、あるいは防寨の切れ目からはいり込んで、逃げもしないで徐々に後退してる浮浪少年を追いつめていた。
この青年将軍は皓歯明眸こうしめいぼうで、よく贅肉ぜいにくを除いて筋骨にムダのない長躯ちょうくは、千里を行く駿馬のごとき相があった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)