鏤刻るこく)” の例文
文芸冊子「散文」十月号所載山岸外史の「デカダン論」は細心鏤刻るこくの文章にして、よきものに触れたき者は、これを読め。
此女性の美しいけれども颯爽たる容姿が、あの返すべき時計に鏤刻るこくされてゐる、鋭い短剣の形を想ひ起さしめた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
上巻の扉には、羅甸ラテン字にて書名を横書し、その下に漢字にて「御出世以来千五百九十六年、慶長二年三月上旬鏤刻るこく也」の二行を縦書す。年代の左右には喇叭らつぱを吹ける天使の画像あり。
奉教人の死 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この曲には、フランクの人格が反映し、その信仰の奥義が鏤刻るこくされている。
おお、私はここにお前の名と姿と霊とを決して消える事のない深さで鏤刻るこくしよう。丁度お前を産んだ民族が、好んであの固い花崗岩かこうがんに深くのみをあてて、記念すべき永遠の彫刻を刻んだように。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
泰西彫工たいせいちょうこう鏤刻るこく、かがやかしい白金のマリヤぞう肉彫にくぼりの笄。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
慶長元年三月上旬鏤刻るこく
此女性の美しいけれども颯爽さっそうたる容姿が、あの返すべき時計に鏤刻るこくされている、鋭い短剣の形をおもい起さしめた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
既に帝都においては三度、また郷土において旧都において、上人の遺作展覧会は開催せられ、それは幾千の人々の脳裡に深き印象を鏤刻るこくしました。今や讃仰さんぎょうの声は凡ての国から起ってきました。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)