鍍金メッキ)” の例文
「ぴかぴかしているが、これは鍍金メッキだよ。それに半分にかけていちゃ、売れやしない。ああ、くたびれもうけか。損をしたよ」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
鍍金メッキしたやうな海波のなかへ全く沈んでしまつた時、末期に迫つた孫息子の眼は、頭の中へ消え込みでもするやうに、ぐる/\𢌞つて、うはづつた。
あなたには鍍金メッキが粘土であることも、絹の着物が蜘蛛の巣であることも、大理石が見すぼらしい石板であり、みがきをかけた木材はくだらぬ木屑であり
飾窓のなかには、あしのとれた写字机ビュウロオや、石版画の西洋の風景や、セエブル焼きの置時計、壊れた手風琴てふうきん、金鍍金メッキ枝燭台えだしょくだい、さまざまな壺やかめ、赤く錆びた三稜剣エペ
その解剖台上に投げ出された、黒い、凹字おうじ型の木枕に近く、映画面の左手に当ってギラギラと眼もくらむほど輝いておりますのは背の高い円筒形、ニッケル鍍金メッキ湯沸器シンメルブッシュで御座います。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
古い達磨だるまの軸物、銀鍍金メッキの時計の鎖、襟垢えりあかの着いた女の半纏はんてん、玩具の汽車、蚊帳かや、ペンキ絵、碁石、かんな、子供の産衣うぶぎまで、十七銭だ、二十銭だと言って笑いもせずに売り買いするのでした。
老ハイデルベルヒ (新字新仮名) / 太宰治(著)
足のとれた写字机、石版画、セーブル焼の置時計、手風琴、金鍍金メッキの枝燭台、古甕……鎧扉の隙まからさしこむ光線のほそい縞の中で、埃をかぶった古物が雑然とその片鱗を浮きあがらせている。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)