銃口じゅうこう)” の例文
白木は窓のところに立ち、カーテンの蔭から、例のステッキに似せた軽機銃の銃口じゅうこう窓外そうがいにさし向けたまま、石のように硬くなっていた。
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今にも、あの人間ひょうの息子を彼の密室にさしむけて、弘子同様の目にあわせるか、あるいは老人の銃口じゅうこうが、覗き穴から首を出して、彼をねらいうちにするか。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのすきに、忍剣のうしろに身ぢかくせまって、片膝かたひざおりに、種子島たねがしま銃口じゅうこうをねらいつけた者がある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一同はすぐ銃口じゅうこうをむけて身がまえた、そのなかに富士男とドノバンはまっすぐに声のほうをさして進んだ。と見ると、そこはかつてサービスが木の枝をむすんでかくしておいた、穴のほとりであった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
それをきいていた一等運転士は、こころのなかにむっとして、ポケットからピストルをぬきだすと、正太をめがけて、今にも銃口じゅうこうをむけそうな気配を示した。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
警官は怪訝けげんな顔をして、そばによってきた。このとき廊下をへだてた向いの暗い室の扉が、音もなく細目に開いて、その中から一挺いっちょうの太い銃口じゅうこうがヌッと顔を出した。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
後部車掌は真青まっさおな顔をして、握ったピストルのふるえる銃口じゅうこうで指し示した。
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)