銀襖ぎんぶすま)” の例文
ゆるい一風ごとに、塀の紅梅や柳をこえて、大川口の海の香は、銀襖ぎんぶすまや絵襖などの、間毎まごと間毎まで、いっぱいに忍びこんで来る。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
七兵衛が通された部屋には、古色を帯びた銀襖ぎんぶすまがあって、それには色紙しきしが張り交ぜてある。
夏の夜の「若竹わかたけ」の銀襖ぎんぶすまのごとく青白き瓦斯がすに光る。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
三十分つ——一時間経つ——冷やかな銀襖ぎんぶすまに秋の日が暮れかけて、大川のの音や川波が障子ごしに薄ら寒くしのんでくる。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、慇懃いんぎんなことは、床の間や銀襖ぎんぶすまをひかえた客間の応対と変りもなかった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)