鉄拐てっか)” の例文
旧字:鐵拐
渠のあまりに平民的なる、その度を放越ほうえつして鉄拐てっかとなりぬ。往々見るところの女流の鉄拐は、すべて汚行と、罪業と、悪徳との養成にあらざるなし。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(引潮時だねちょうど……)と溜息ためいきをしたは、油絵の額縁をこしらえる職人風の鉄拐てっかな人で、中での年寄だった。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
恩人の顔は蒼白あおざめたり。そのほおけたり。その髪は乱れたり。乱れたる髪! その夕べの乱れたる髪は活溌溌かつはつはつ鉄拐てっかを表わせしに、今はその憔悴しょうすいを増すのみなりけり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
せんの義庵先生は、市に大隠をめて浜町にすまったので、若い奴等やつらなどと言って紋床へ割込んで、夕方から集る職人仕事師であいを凹ますのを面白がって、至極の鉄拐てっか、殊の外稲荷が贔屓ひいきであったので
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鉄拐てっかつま引挟ひッぱさんで、ほうと呼吸いきを一つ長くいた。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)