金竜山きんりゅうざん)” の例文
旧字:金龍山
山東翁さんとうおうが『近世奇跡考きんせいきせきこう』に書きました金竜山きんりゅうざん奈良茶ならちゃの昔はいかがか存じませんが、近頃は奥山の奈良茶もなかなかこったものを食わせやす。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
金竜山きんりゅうざん浅草寺せんそうじ名代の黄粉きなこ餅、伝法院大えのき下の桔梗屋安兵衛ききょうややすべえてんだが、いまじゃア所変えして大繁昌はんじょうだ。馬道三丁目入口の角で、錦袋円きんたいえんと廿軒茶屋の間だなあ。おぼえときねえ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
もちろん、もうあたりは深夜のような静けさなので、ところへ、やがてのことにいんいんと、風もない初春の夜の川瀬に流れ伝わってきたものは、金竜山きんりゅうざん浅草寺せんそうじの四ツの鐘です。
御厩河岸おうまやがし榧寺かやでらには虫歯に効験しるしのある飴嘗あめなめ地蔵があり、金竜山きんりゅうざん境内けいだいには塩をあげる塩地蔵というのがある。
種員は頬冠ほおかむりにした手拭てぬぐいのある事さえ打忘れ今は惜気おしげもなく大事な秘密出版の草稿に流るる涙を押拭った。そして仙果諸共もろとも堀田原をさして金竜山きんりゅうざんの境内を飛ぶがごとくに走り行く。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一同はそれらの小屋をも後にして俗に千本桜といわれた桜の立木の間をくぐり抜け、金竜山きんりゅうざん境内の裏手へ出るとそぞろ本山開基の昔を思わせるほどの大木が鬱々うつうつとしておい茂っている。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)