“野羊(やぎ)” の例文
衣裳屋のショーウインドウのマネキン人形はまだ消えない朝の電燈の下で今年の秋の流行はペルシャ野羊(やぎ)であることを使嗾(しそう)して居る。
ドーヴィル物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
この映画と同時にロシアのニュース映画を見た中に、たぶんカリニンであったか、野羊(やぎ)ひげのにがい老人が展覧会を見てあるくところがあった。
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
... 買い当てる時と大層不味(まず)くって臭い匂いのあるのがあります。あれはどういう次第でしょう」中川「それは野羊(やぎ)の肉を ...
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
今朝もかなりに寒く、近くで頻りに野羊(やぎ)の鳴くのが聞えていた。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
野羊(やぎ)を引きふろしき包みを肩にしたはだしの土人の女の一群がそのあとにつづく。そうしていちばんあとから見えと因襲の靴(くつ)を踏み脱ぎすてたヒロインが追いかける。
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
南京虫(ナンキンむし)や蚤(のみ)蚊(か)に攻められながら、野羊(やぎ)の乳を飲み、アラビア人のコックの料理を食って、一八七二年の十二月十二日から翌年三月中旬にわたる単調な船住いをつづけた。
レーリー卿(Lord Rayleigh) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「野羊(やぎ)の居る風景」などもそれである。ただ残念に思うのは、外国の多くの実例と比較したときに感ぜられる音楽の容量の乏しさと、高く力強く盛り上がって来るような加速的構成の不足である。
映画雑感(Ⅴ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)