)” の例文
あの朝は酔いめで、暗いうちから眼が醒めておったものじゃが、あの辺は知っての通り森閑と静まり返っておるのに、足音一つ、人声半分聞かんじゃった。
「さア、いらっしゃい。氷も解けたし、雑魚ざこはすの根から泳き出す陽気だ。——こちにとっても、長い冬籠りの退屈ましにはちょうどいい折、いでや眼にもの見せてやろうぜ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)