酒瓶さけびん)” の例文
大きな酒瓶さけびんのような物を並べた店も、野菜を並べた店も、して蛇とも魚とも判らない物や、またいもとも木の根とも判らない物などを並べた店も眼にいた。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
管絃楽は、ベートーヴェンの序曲を几帳面きちょうめんに演奏し、それから円舞曲ワルツを猛然と演奏した。タンホイゼルの巡礼が奏されてる間に、酒瓶さけびんせんを抜く音が聞えた。
白い上着うわぎ酒瓶さけびんの蔭にかくしてなにか整頓に夢中になっているように見せて置いて、しかるのち、その蔭に鈴江をよびこむと、春ちゃんの機嫌をわるくするようなことを言っちゃならねぇぞと
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
予審判事の書記が寄れる卓子ていぶるの足の下に転がりて酒瓶さけびんの栓のりし事をも記臆し、そのせんはコロップにて其一端に青き封蝋ふうろうそんしたる事すらも忘れず、此後こののち千年生延いきのびるとも是等の事を忘る可くもあら
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)