酒壜さけびん)” の例文
私が当惑とうわくしきっているのにはおかまいなしに、白木はボーイにいいつけ、持って来させた銀の盆の上の酒壜さけびんを眺め、にたにたと笑いながら
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
酒樽さかだるが転がっている。油紙に包んだ肉のようなものがぶら下っている。埃だらけな棚の上にも酒壜さけびんが並んでいる——。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
申訳みたいに売台カウンタのむこうに酒壜さけびんの列が並んではいるが、公衆に開けてるんじゃないとみえて、この、酒場の書入れ時刻というのに、客といっては一人もなかった。
その広間はどこの居酒屋いざかやにも見られるようなもので、食卓、すずかめ酒壜さけびん、それから酒を飲んでる男や、煙草たばこをふかしてる男、中はうす暗くて、しかも騒然たる音を立てていた。
彼は古い酒壜さけびんがあったのを見て、一々その栓を引き抜いて調べた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)