郎党ろうどう)” の例文
そして、りだされてきた里人や郎党ろうどうは、多くの小船に乗りわかれて、湖水の底へ鈎綱かぎづなをおろしながら、あちらこちらとぎまわった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
深いご恩をこうむっている数多くの郎党ろうどうは自分の身にとがめのかかるのを恐れて皆逃げ去ってしまいました。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
白城の城主狼のルーファスと夜鴉の城主とは二十年来のよしみで家の子郎党ろうどうの末に至るまでたがいに往き来せぬはまれな位打ち解けた間柄であった。確執の起ったのは去年こぞの春の初からである。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
民部はいさみ立ったさまをみせて、郎党ろうどうたちを八ぽうへ走らせた。まもなく、地理にあかるい土着どちゃく里人さとびとが、何十人となくここへ召集されてきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
穴山あなやまがたの郎党ろうどうも、たがいに目から火をだしての狼狽ろうばいだった。そして白熱戦の一瞬がすぎると、だれしもいのちしく、八ぽうへワッと飛びのく。——
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)