邪鬼じゃく)” の例文
それは、光秀の聡明な理性が何かに光るときほど、信長のあま邪鬼じゃくが、言語や顔いろに現われるのを見ても分ることだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
故に山羊はあま邪鬼じゃくだというと、これは足の構造に基づくはもちろんながら、山羊、綿羊共に決して一汎いっぱんにいわるるほど柔順でなく卞彬べんぴんは羊性淫にしてもとるといった。
市役所の役人に反抗したあま邪鬼じゃくは、年をとっても、おかみ嫌いの、「いつもの癖」になってはいたけれども、それが、思いもかけぬ、突発的とはいえ、自分の顔をふりまわす傲慢さで
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
と、いよいよあま邪鬼じゃくをあらわし始めた。ことばだけでなく「意地にでも……」と、思いつのッて来たのかもしれない。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心のうちで、そんなあま邪鬼じゃくな意地を出していた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
いやしくも事を処理してあやまらない明晰めいせきなきんか頭のぎわの照りを見ると、信長の感情は、彼の性格的なにおいに向って、ひどくあま邪鬼じゃく焦気いらきが立ってくるのだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)