邀撃ようげき)” の例文
せきの地迄来ると、しかし、其処そこからは最早一歩も東へ進めないことが判った。太子の入国を拒む新衛侯の軍勢の邀撃ようげきに遇ったからである。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
中川隊四百の捨身の邀撃ようげきは佐久間勢の腹中へ入って暴れ廻った。約十倍の大兵は、その量だけの力を、狭い一局戦に集めることは困難だった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大陸上空において日本戦闘機の邀撃ようげきに出会い、各所において合計十余機をうしない、辛くも基地に辿りついたものは、哀れ数機に過ぎなかった。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「しのびの兵」(透波スッパ間諜)のもちきたる情報も入ったので、甲軍が隊を二分し、一は妻女山の背後に廻り、一は川中島に邀撃ようげきの計画であることが分ったので
川中島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
彼は早速僕を打ち取るために邀撃ようげきするであろう、——しかもそれにはかの怖るべき殺人兇器を使用するに相違ないと、——それで僕は窓に、鮮かな目標を示してやったのだ。
委員A「日本の戦闘機はやはり成層圏まで邀撃ようげきしてくるだろう。そのときはどうなる」
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大老邀撃ようげき、それからそれへと変災椿事が打ちつづいて、人の心が落ち着かないところへ、又もやこの恐ろしい御託宣を聴かされたのであるから、かれらの胸に動悸の高まるのも無理はなかった。
半七捕物帳:21 蝶合戦 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
筒井勢もまた同様とすれば、機先を取って彼を摂津の入口に邀撃ようげきするには、遺憾いかんながらお味方の兵力は不足であります。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次いで十一月二十六日、正行は和田助氏を先陣として住吉天王寺附近の敵を邀撃ようげきした。此の戦勝は圧倒的であり、したたかにやられた賊軍はすっかり、狼狽したらしい。
四条畷の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
たいがいわが家の西方で邀撃ようげき
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
初めは三島から黄瀬川附近まで進撃し、遠征の敵軍を邀撃ようげきする策戦に衆議一決しようとした。
小田原陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
主将中川瀬兵衛とその麾下たちが、猛然、一団となって、山上から邀撃ようげきに出て来たのは——。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北原には、魏の大将郭淮かくわいの城もあることゆえ、今度は見のがさず邀撃ようげきして来るに相違ない
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(——退いて防がんよりは、前進して彼を邀撃ようげき、一戦に大事を決せん)
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蜀は、その途中に邀撃ようげきして、魏を苦戦におちいらしめた。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)