遺孽いげつ)” の例文
越後風土記には、奈良朝当時なおこの地に属類の多く存した或る種族を以て、崇神天皇朝の八掬脛やつかはぎ遺孽いげつで、その先祖は土雲だとある。
手長と足長:土蜘蛛研究 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
諸王は国中になげきて、京に至るを得る無かれ、と云えるは、けだその諸王其の封を去りて京に至らば、前代の遺孽いげつ、辺土の黠豪かつごう等、あるいは虚に乗じて事を挙ぐるあらば、星火も延焼して
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
某の部落はアイヌの遺孽いげつの村であるとか言われるものが、現になお各地に遺っているほどであるのみならず、その宅神としての行事や性格が
粛慎は無論肉食に慣れた民族である。その遺孽いげつたるエッタが、また肉食を辞しなかった事は言うまでもなかろう。
「エタ」名義考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
或いは吉野川の上流に住んだ先住民の遺孽いげつたる国栖人が、好んで蝦蟆を喰って上味としたという様に、彼らが蝦蟆を常食としていたので、それで蟆人くくひとの名を得たのであったかもしれぬ。
しかしこれに対して山間に蝦夷の遺孽いげつのある事を伝えておらぬ。
「ケット」と「マット」 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)