達磨船だるまぶね)” の例文
最後に川の上を通る船も今では小蒸汽こじようき達磨船だるまぶねである。五大力ごだいりき高瀬船たかせぶね伝馬てんま荷足にたり田船たぶねなどといふ大小の和船も何時いつにか流転るてんの力に押し流されたのであらう。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
港にある船はもとより何百艘で、一本マスト、二本マストの帆前船、または五大力ごだいりきの大船から、達磨船だるまぶね土船つちぶね猪牙船ちょきぶねなぞの小さなものに至るまで、あるいは動き、あるいは碇泊ていはくしていた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
運河は波立った水の上に達磨船だるまぶね一艘いっそう横づけにしていた。その又達磨船は船の底から薄い光を洩らしていた。そこにも何人かの男女なんにょの家族は生活しているのに違いなかった。
歯車 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
運河は波立つた水の上に達磨船だるまぶねを一艘横づけにしてゐた。その又達磨船は船の底から薄い光を洩らしてゐた。そこにも何人かの男女の家族は生活してゐるのに違ひなかつた。
歯車 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
石炭を積んだ達磨船だるまぶねや白ペンキのはげた古風な汽船をものうげにゆすぶっているにしても、自然の呼吸と人間の呼吸とが落ち合って、いつの間にか融合した都会の水の色の暖かさは
大川の水 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)