まわ)” の例文
或る悩ましく花のれるような夕方、姉弟が来て筒井に告げた。それはこの一とまわりのあいだ、毎日のようにやしきをうかがう男がいるとのことだった。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「驚いて氣をうしなつたらしい。傷は大したことぢやない。ねらひが外れて脇腹をかすられただけのことで、うみさへ持たなきや、二たまわりもすると癒るだらう」
太宰府に居ると言うが表面おもてだから、氏の祭りは、枚岡・春日と、二処に二度ずつ、其外、まわり年には、時々鹿島・香取の東路あずまじのはてにある旧社もとやしろの祭りまで、此方で勤めねばならぬ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
燐薬の作用はたらきで、一まわりを経ている死人がまるで生きているように新鮮あざやかだったことなぞも、平兵衛はてんから気に留めなかったが、庭の隅を掘って屍の残部のこりを埋めるだけの用心は忘れなかった。