逆櫓さかろ)” の例文
まだ、そこまで行っていないが、古典平家だと“那須余一”や“弓流し”のくだりの初めに“逆櫓さかろ”の一章がある。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実はこれは例の屋島攻めの際、摂津国渡辺の浜で起った梶原景時との逆櫓さかろ論争が、大きな役割を果していた。
小説の史跡を論ずるのは極楽の名所図会ずえや竜宮の案内記を書くようなものだが、現にお里の釣瓶鮨つるべずしのあとも今なお連綿として残り、樋口の十郎兼光の逆櫓さかろの松も栄え
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
二十七年の二月に逆櫓さかろ(綾瀬太夫)、堀川(播磨はりま太夫)を上演した時などは、太夫を聴くだけでも一日の暇を潰す価値があるというので、毎日満員の大入りであった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「このたびの合戦には、逆櫓さかろをご採用になっては、いかがでござりますか?」
その一番目は「那智滝祈誓文覚なちのたきちかいのもんがく」で、団十郎の遠藤盛遠、菊五郎の渡辺わたる、芝翫の袈裟御前けさごぜん。中幕は「逆櫓さかろ」で、団十郎の樋口、芝翫のお筆、市蔵の権四郎、八百蔵の重忠、女寅めとらのおよし。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
義経と梶原とが逆櫓さかろのことで、議論となり、味方喧嘩をひき起こしたという話になっているが、これはかなり人口にも膾炙かいしゃしているので、次回のことだが、あらかじめここで断っておきたい。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
狂言は「ひらがな盛衰記」の逆櫓さかろ、「鬼一法眼きいちほうげん」の菊畑、「為朝ためとも」の八丈島、「梅川忠兵衛」の封印切から新口にのくち村などで、子供芝居流行の気運に乗じたためか、この興行もまた相当の成績を収めた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
逆櫓さかろ