追従ついしよう)” の例文
旧字:追從
ある時、出入の男が長次郎氏が五銭銅貨のやうに青い顔でふさぎ込んでゐるのを見て、気晴しにめかけでも置いたらうかとお追従ついしようを言つてみた。
ふさ付き帽子おももちゆたかに洋服かるがると花々しきを、坊ちやん坊ちやんとてこの子の追従ついしようするもをかし、多くの中に龍華寺りうげじ信如しんによとて、千筋ちすぢとなづる黒髪も今いくとせのさかりにか
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
原敬氏がこの自惚うぬぼれを、どんな塩梅あんばいに取扱ふかは見物みものである。これを巧く利用したものに徳川家康がゐる。ある時何かの席で、福島正則が家康にお追従ついしようを言つた事があつた。
其方大切なればこそお師匠様と追従ついしようもしたれ、えきも無き他人を珍重には非らず、年来としごろ美事に育だて上げて、人にも褒められ我れも誇りし物を、口惜しきぎぬきせられしはの人ゆゑなり
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「先生昨日きのふは色々どうも有り難う御座いやした。」と白い歯を見せて追従ついしよう笑ひをした。