追出おんで)” の例文
国府津こうづ辺まで、それまでに荒しゃあがったんでね、二度目に東京を追出おんでてもどこへ行っても何でしょう、おかみさん。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ああして追出おんでてしまやがって、その後は、さっぱり消息たよりを聞かねえ、聞きてえとも思わねえし、聞きたくもねえのだが、ロクなことはあるめえよ、本木もときにまさる末木うらきなしでなあ、人間
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
勘当ではない自分で追出おんでて、やがて、おかち町辺に、もぐって、かつて女たちの、玉章たまずさを、きみは今……などとしたためた覚えから、一時、代書人をしていた。が、くらしに足りない。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
、奥さんに頼めだい、黙れ。謹が芸者の取持なんぞすると思うか。先刻さっきも云う通り、芳、お前も同類だ、同類は同罪だよ。早瀬を叩出した後じゃおれ追出おんでる、お前ともこれきりだから、そう思え。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)