トップ
>
迸
>
ほと
ふりがな文庫
“
迸
(
ほと
)” の例文
彼と、一緒に歩哨に立っていて、夕方、不意に、胸から血潮を
迸
(
ほと
)
ばしらして、倒れた男もあった。坂本という姓だった。
渦巻ける烏の群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
どんと一発……あ!という声、レイモンドはよろよろと倒れ掛ったが、血の
迸
(
ほと
)
ばしる喉を押えつつ、ルパンの方に身体を廻して、ルパンの足元に倒れた。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
鴉は何を叫んで狼を
誣
(
し
)
ゆる積りか分らぬ。只時ならぬ血潮とまで見えて
迸
(
ほと
)
ばしりたる酒の
雫
(
しずく
)
の、胸を染めたる恨を晴さでやとルーファスがセント・ジョージに誓えるは事実である。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
肺腑から
迸
(
ほと
)
ばしり出る叫びだった、みんな蒼白になった面を伏せ、ひきそばめた刀をしずかに下へ置いた。庄三郎は役人たちのほうへ向き直って、まず自分の大剣をさしだしながら云った。
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
満身の自負心は
鬱勃
(
うつぼつ
)
として
迸
(
ほと
)
ばしらんとする。しかし彼は黙然としていた。そして肩に受けた無双の大力に押されて、意気地なくも身体が折れ
屈
(
か
)
がむまでに押え付けられてしまった。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
▼ もっと見る
お秀の口から
迸
(
ほと
)
ばしるように出た不審の一句、それも疑惑の星となって、彼女の頭の中に
鈍
(
にぶ
)
い
瞬
(
まばた
)
きを見せた。しかしそれらはもう遠い距離に
退
(
しりぞ
)
いた。少くともさほど
苦
(
く
)
にならなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は隠袋の中へ手をぐっと
挿
(
さ
)
し込んで
掌
(
てのひら
)
いっぱいにそのビー玉を
載
(
の
)
せて見せた。水色だの紫色だのの丸い
硝子
(
ガラス
)
玉が
迸
(
ほと
)
ばしるように往来の真中へ転がり出した時、彼は
周章
(
あわ
)
ててそれを追いかけた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
風呂を注文しておいたら、用意ができたと見えて、向うの部屋で、湯の
迸
(
ほと
)
ばしる音が
盛
(
さかん
)
にする。靴を脱いで、スリッパアをつっかけて、戸を開けに掛ると、まだ廊下に出ないうちに給仕がやって来た。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
迸
漢検1級
部首:⾡
10画
“迸”を含む語句
迸出
迸発
横迸
迸水
迸沫
迸溢
迸血
迸裂