返報しかえし)” の例文
「おれは、このあいだの、返報しかえしをしたんだ。返報のまた返報をしてもいいのか。大人のくせにそれくらいな理窟がわからないのか」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういう時に日ごろ町内から憎まれていたり、祝儀しゅうぎの心附けが少なかったりした家は思わぬ返報しかえしをされるものだった。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
ええ業腹ごうはらな、十兵衛も大方我をそう視て居るべし、とく時機ときの来よこの源太が返報しかえし仕様を見せてくれん、清吉ごとき卑劣けちな野郎のしたことに何似るべきか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「だまれッ! いずれ探ればわかること。早晩そうばんこの返報しかえしはするからそう思え」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
三年なりとも十年なりとも返報しかえしするに充分なことのあるまで、物蔭から眼を光らして睨みつめ無言でじっと待っててくりょうと、気性が違えば思わくも一二度ついに三度めで無残至極に齟齬くいちが
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)