辺土へんど)” の例文
もしあの盛衰記の島の記事から、辺土へんどに対する都会人の恐怖や嫌悪けんをを除き去れば、存外ぞんぐわい古風土記こふうどきにありさうな、愛すべき島になるかも知れない。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「だって、現朝廷の腐敗、悪政、その下に泣かされている辺土へんどたみ、いまさらでねえが、ひでえものだ。それはみんな天子が悪いからじゃあありませんか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世の中は常かなしもよ沖の島ここの辺土へんどの松風のこゑ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
辺土へんどに住みし母と妻かな
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
が、流人るにんとは云うものの、おれたちは皆都人みやこびとじゃ。辺土へんどの民はいつの世にも、都人と見れば頭を下げる。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「なるほど、そう伺って見れば、こう云う辺土へんどにも似合わない、美しい顔をして居りました。」
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)