すく)” の例文
立ちすくんだ与次郎、浅黄の頬冠りこそしておりますが、苦味走った三十男、咄嗟とっさの間に、万七の手を振りもぎって逃げようとすると
とにも角にもこうして二、三分間にらみ合ったまま立ちすくんでいるうちに、私はとうとう堪えられなくなって次の言葉を発した。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どこを捜しても、梢や草を渡る寂しい風の音ばかりで、どこかに立ちすくんでいるであろうとは思いながらも、思い切らないわけに行かなかった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「追い詰めたです、追い詰めたことは追い詰めたですが、——そうですよ、殿さまを射たねえで、ほかのものを射ったです」とふじこは軽蔑けいべつしたように肩をすくめた
それまで吃驚びつくりしたやうに立ちすくんでゐた軍治が突然大声をあげて走つて逃げた。
鳥羽家の子供 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
番頭は立ちすくみました。その後ろからヌッと顔を出したのは四十五六の小作りながら鋭い感じの男。
不意討を喰らって、ガラッ八は往来の真ん中に立ちすくみました。
不意討を喰らつて、ガラツ八は往來の眞ん中に立ちすくみました。