おどら)” の例文
それだけにこれは千歳一遇の好機であると、Y君と私とは非常な興味を持って、胸をおどらせながら先生の実験の命令を待ったのであった。
球皮事件 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
会々たまたま宗徒の部将有江休意よしとも、黒髪赤顔眼光人を射る六尺の長身をおどらして至った。重矩の従士左右から之に槍を付けようとするのを、重矩斥けて立ち向った。
島原の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
然し半鐘の音と共に、近在から無数に繰出してくる百姓には、甚七も辟易へきえきしてしまった。そしてかくれるより外に道が無かったから、木立の茂りから大樹の上と巧に身をおどらして夜に入るのを待った。
新訂雲母阪 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
迷信家の女は、胸をおどらせて、極めて小さな声で
(新字新仮名) / 小川未明(著)